(2009年4月15日 日刊建設工業新聞)
横浜から成田・羽田両空港等をリニアで結ぶ「成田〜羽田超高速鉄道整備構想」の実現をめざす神奈川県は14日、アクセス改善効果や事業費などの調査結果をまとめた。それによると横浜〜成田空港間の建設費の推計は約1兆3000億円、建設にともなう経済波及効果は2兆9000億円と試算された。
調査の対象となった事業区間は「東京湾臨海部リニアモーターカー構想」と同じく横浜〜成田空港間の約90キロ。想定駅数は6駅、車両数は120両。掘削手法は一般部がシールド工法、駅部が開削工法。概算事業費はシールド部が9900億円(地下鉄工事実績より推定)、駅部が1600億円(同)、車両費が1000億円(リニア中央新幹線データより推定)、車庫費が400億円(東京湾リニアモーターカー構想より推定)の合計1兆2900億円。1キロあたりの建設費は約143億円と試算された。
建設投資による波及効果は、約1兆3000億円の直接効果から約8500億円の1次波及効果をもたらすと推計。さらに1次効果による雇用者所得誘発額は約7400億円の2次波及効果を生むと推計、生産波及効果の総合計は約2兆9000億円と試算された。
アクセス改善効果は、成田〜羽田間が現行の91分から15分と大幅に短縮。国際ゲートウエイ機能と国内線ネットワークの中核機能が一体化し、国際水準の首都圏空港が実現。空港利用者の利便性と首都圏南部方面から成田へのアクセスが飛躍的に向上する。車利用から鉄道利用への転換がはかられ、環境改善効果も期待できる。
また、シールドトンネルの形状特性を生かして、ほかの物流機能等とトンネルを共同化するなどのシールドトンネル多目的活用。計画中のリニア中央新幹線や既存新幹線ネットワークとの連携による、中部圏や関西圏等との連携強化などが期待されている。
構想実現に向けては今後、具体的なルートや構造を設定したうえでの事業費の推計や需要予測など詳細な検討が必要となる。圏域を越えるビッグプロジェクトであることから、八都県市首脳会議など、より広域的な協議が必要としている。
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