特報かながわ 2015年・JR 2019年・東急 相鉄 相互乗り入れ 新宿、渋谷… 都心直結も 横浜駅の利用減 西口空洞化対策 三角定期 特急新設
(2009年11月1日 東京新聞)
【神奈川県】相模鉄道(本社・横浜市西区)が新線を経由しJRと東急電鉄と相互直通運転し、都心に乗り入れる計画を進めている。県央地区と都心がダイレクトに結ばれるほか、JR新横浜駅も経由するため、東海道新幹線へのアクセスが格段に便利になる。利便性が向上する一方で、横浜駅を経由する利用者の減少が見込まれ、相鉄側が「最重要拠点」とする同駅西口地区の空洞化を懸念する声も出ている。(加藤行平)
相鉄によると、JRとは、相鉄西谷駅(横浜市保土ケ谷区)とJR東海道貨物線横浜羽沢駅(同市神奈川区)を約二・七キロの新線で接続。同貨物線、横須賀線、埼京線を経由し、新宿方面と結ぶ。二〇一五年四月開業の予定。
東急との乗り入れは、羽沢からJR新横浜駅(同市港北区)の地下を経由して東急東横線日吉駅(同)に至る約十キロの新線を建設、日吉から東急線に入る。開業予定は一九年四月。いずれの新線も地下化される。
総工費はJR関係が七百億円、東急関係が二千億円の計二千七百億円。都市鉄道等利便増進法に基づき、鉄道を建設する整備主体と運行する営業主体(鉄道事業者)を分ける「上下分離方式」を採用する。
この事業では国、地元自治体(県、横浜市)、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の三者が資金調達(負担は三分の一ずつ)し、相鉄、東急は施設使用料を支払って運行する。
従来の横浜経由に比べて、都心への所要時間は短縮されるため(別表参照)、横浜を経由せずに都心に向かう利用者が増えそう。相鉄によると、開業後、相鉄−東急経由の利用者は一日当たり二十七万人、JR経由の利用者は同七万人に上るという。
しかし、「横浜経由の乗客が減って、(相鉄横浜駅のある)西口が空洞化しないか」と指摘する声は根強い。相鉄側も「一時的に減少することは否めない」(沼野恵一社長)と認める。特に横浜からJRを利用していた客の減少が見込まれ、その数は一日当たり三万五千人を超えるという。
沼野社長は「本線は当社の基幹線であり、西口一帯は最重要拠点」と位置付ける。“空洞化”対策として、本線に現在はない「特急」を創設し、海老名−横浜間の所要時間を五分程度短縮する。
さらに往路は東急、JRルートで都心に向かっても、帰路は東横線やJR線で横浜駅に戻り、買い物などをし、横浜から相鉄線を利用できる“三角定期”の発行を検討。西口の商業施設「相鉄ジョイナス」と地下街「ザ・ダイヤモンド」を二〇一二、一三年に全面改修するなど、相鉄グループを挙げて西口周辺の再開発を進める。
都心回帰などを背景に、相鉄の乗降客数は一九九五年をピークに九年間減少。下降は止まったが、ピークに比べれば一割減った。現状を打破するために浮上したのが、相互直通運転による都心への乗り入れだった。沼野社長は「県央と都心が結ばれれば、相鉄沿線が活性化し、住民も増加するだろう。相鉄グループ全体にいい効果が出る」と期待する。
◇
相互直通運転に伴う所要時間の短縮例
(相鉄・JR直通線)
区間 現行 開業後 短縮
二俣川−新 宿 59分 44分 15分
大 和−渋 谷 58分 47分 11分
海老名−渋 谷 57分 54分 3分
湘南台−渋 谷 60分 51分 9分
(相鉄・東急線直通線)
区間 現行 開業後 短縮
二俣川−目 黒 54分 38分 16分
海老名−目 黒 69分 54分 15分
大 和−新横浜 42分 19分 23分
湘南台−新横浜 49分 23分 26分
※相鉄調べ 朝のラッシュ時を想定、乗降・待ち時間を含む
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posted by train news at 17:43
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