ニュース裏おもて- 肥薩おれんじ鉄道 赤字歯止めへ平日運行検討 /
熊本(2009年6月12日 毎日新聞-地域版)
◇熊本、
鹿児島へ直通列車
八代市と
鹿児島県薩摩
川内市を結ぶ第三セクター、肥薩おれんじ鉄道(本社・八代市)が、JRの在来線に乗り入れて、熊本、鹿児島両市への土日祝日限定の直通列車運行を始めて1年余りが経過した。赤字に悩む同社は、さらに平日も運行できないか11年度にかけて検討を始める。直通列車の常時運行が赤字の歯止めとなるのか、実現に向けた課題を探った。
九州新幹線の部分
開業に伴いJR鹿児島線から切り離されたおれんじ鉄道は04年3月の開業以来、利用者数の低迷で慢性的な赤字が続いている。昨年度の利用者数は163万人余りと、前年度の169万人から3・5%減少した。累積赤字は07年度末で6億8200万円に上っている。
直通列車の運行は利用者の利便性を向上させようと昨年3月、土、日曜と祝日限定で始まった。出水駅(鹿児島県出水市)を起点に熊本駅と鹿児島中央駅に向け朝夕1往復する。熊本側は「
スーパーおれんじ号」、鹿児島側は「オーシャン
ライナーさつま」の愛称がついた。おれんじ鉄道の車両を使うが、運転士を含めJR区間の運行はJRが担当する。乗り入れに伴う昨年度の増収は598万円。すべておれんじ鉄道の収入となった。直通列車は一定の需要開拓につながったことになる。
筆頭株主の熊本、鹿児島両県などは5月に出水市で開いた公共交通活性化協議会で、10年度にかけて平日運行の実証運行などに取り組み、11年度に本格運行を目指すスケジュールを承認した。
ただ直通運行実現への課題は多い。一つはJRとの圧倒的な輸送量の差だ。路線1キロ当たり1日何人の客が乗るかを示す「輸送密度」は、おれんじ鉄道が883人。JR熊本―八代間は1万人といわれている。朝夕ラッシュ時のJR区間に2両編成のおれんじ鉄道列車が入り込むのは現実的に難しい。
車両
の違いもある。JRの熊本―八代間は肥薩線向けとSL人吉以外いずれも電車なのに対し、おれんじ鉄道は保有する19両すべてが速度の遅いディーゼル車。JR側からおれんじ鉄道区間に電車を導入することも可能だが、車両の待機場所など新たな
投資が必要となる。
採算性も鍵を握る。活性化協議会で示されたシミュレーションでは、平日に1日1往復運行した場合、追加の人件費や燃料代、場合によってはJRから車両(電車)を借りるケースもあり、年間318万〜1154万円がランニングコストとして新たにかかる。これをねん出するには1運行当たり平均15〜20人の乗客を確保できるかどうかが採算性の目安になる。
こうした課題にもかかわらず直通列車が検討されるのは、沿線地域だけの利用では「じり貧」になるのが避けられないとの危機感が根本にある。嶋津忠裕社長は「直通運行だけで一挙に赤字がなくなることはない」としながら「経営が低空飛行する中で、路線存続に向けてどう闘っていくかの見通しがつく」と平日の直通列車に期待をかける。
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