(2011/2/3 日刊スポーツ)
東京・銀座に路面電車がよみがえりそうだ。東京都中央区が明日4日、11年度予算案に「次世代型路面電車(LRT)整備調査費」として1500万円を計上する。順調に計画が進めば、銀座から築地市場に入り、晴海地区までの約2・8キロのコースを走る路面電車が、早ければ2018年に開業する。銀座から路面電車が姿を消した1971年以来、47年ぶりに復活する可能性が出てきた。
銀座を抱える東京都中央区の11年度予算案に意外な項目が加えられた。「次世代型路面電車整備調査費」。1500万円が計上される予定だ。複数の候補はあるが、銀座4丁目の交差点をスタートして、13年春には新築されているであろう歌舞伎座をかすめて、築地市場の正門から場内市場に入り込んでいく。新設される2本の橋を渡って晴海地区に到達する約2・87キロのコースが現実味を帯びてきている。
かつて都内には路面電車網がクモの巣のように張り巡らされていた。自動車の激増で道路を占領する路面電車が“邪魔者”扱いされ、公共交通としては地下鉄が取って代わった。1972年には早稲田線(現荒川線)の1本を残してすべてが廃線となった。銀座からも71年に姿を消していた。
それが今なぜ、時代に逆行する路面電車なのか? 埋め立て地の晴海や豊海地区にはバス以外の公共交通がない。ベイサイドの宅地開発で近年、超高層マンションが次々と建設されて人口が増え続けるものの、渋滞に左右されない公共交通機関がなかった。そこで区は路面電車に目をつけた。
特に次世代型と呼ばれるLRTは、低床で高齢者の乗降にも優しい設計になっている。電気を動力にするため、空気を汚さずに騒音問題も解消してくれる。なによりも、地下鉄の10分の1の経費で敷設できる。
路面電車敷設計画を担当する区土木部管理課では「区民の願いでもあるので実現させたい。今後の協議になるが、4年後に開通予定の環状2号にうまくからめれば」と力を込める。環状2号は、新市場を予定する豊洲から東京五輪を想定して新スタジアム建設を計画していた豊海を抜け、築地市場に陸路で入り、地下に潜って、汐留、新橋を経由して虎ノ門に至る道路だ。
石原慎太郎都知事(78)の思いの詰まった環状2号を利用して、まずは開通翌年の16年から2年ほどバスなどで専用レーンの試運転を行い、早ければ18年からの開業を狙う。
資金は区だけでは財政破綻してしまうので「民間資金を導入して、ネーミングライツなども考えていきたい」(同課)と官民合同事業としてとらえている。地下鉄ではなく、銀座からベイエリアを堪能できる路面電車の47年ぶり復活は、決して夢物語ではない。
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