(2010年1月16日 読売新聞)
福岡市営地下鉄七隈線(橋本―天神南、12キロ)の延伸計画で、市交通局が検討中の4案のうち、天神南駅から大型商業施設「キャナルシティ博多」を経由し博多駅までの1・4キロをつなぐルートの費用対効果が最大の4・6倍になるとの試算結果がまとまり、市交通局は「優先して実現するべきルートは『天神南―博多駅』が妥当だ」と結論づけた。今後の焦点は、地下鉄の整備ルートを決める市議会での議論の行方に移る。
4案は、キャナル経由案のほか、〈1〉天神南から博多ふ頭などウオーターフロント(WF)地区までの「WFルート」(2・3キロ)〈2〉WFルートを空港線中洲川端駅付近まででとどめるルート(1・2キロ)〈3〉薬院駅から博多駅に向かう「博多駅ルート」(2・5キロ)――の各案。
市交通局は今回、試算していた建設費や営業収益などに加え、延伸に伴うマイカー利用者の地下鉄への乗り換えによる二酸化炭素の排出削減量や道路の混雑緩和の予測などを考慮し、投資費用に対する事業効果を算出。「1・0」を超えれば投資費用より効果が上回るという考えで数値化した。
その結果、開業後30年間の費用対効果は、キャナル経由案は4・6で最大となり、〈1〉は1・4、〈2〉は1・2、〈3〉は2・3だった。
検証結果を受け、市交通局はキャナル経由案を優先整備するのが妥当との見解をまとめた。他のルートは「将来、まちづくりの進展などによる収支の向上も期待できることから、長期的視点に立った検討が必要」とし、含みを残した。
七隈線は、2005年2月に開業。しかし、天神南駅が空港線天神駅とつながっておらず、他路線との相互乗り入れがないことなどから利用が低迷。08年度の1日当たりの利用者数は約6万人で、開業前に予測した11万6000人を大きく下回っている。
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